「源の事も、秋乃の事も……俺が何とかしたいって思っても、手立てが無かった。そんな時に静月は現れた……」
「私が……」
「静月はその力で、俺を助けてくれてる。記憶を見るのも、感情を読み取るのも辛いはずなのに、こうして力を貸してくれた。辛い時に、手を握ってくれた、だから……」
「あっ………」
蒼大先輩は、繋いでいた手を離したかと思うと、私の両頬を包み込んだ。
それに、驚いて、目を見張る。
蒼大先輩っ??
どうして、私の顔をっ……。
「静月、お前は俺の希望だって、忘れないでくれ」
「き、ぼう………希望」
その言葉が、胸にストンッと落ちてきた。
この力が、蒼大先輩の希望になっている。
一度は家族を絶望させた力が……蒼大先輩の希望に。


