Wエース

海成side


「兄ちゃんも馬場も、みんな凄いな」


「ま、程々にしとくんだぞ」


「でも、負けたくないから」


「ふっ、なら頑張れよ。少し涼みに行ってくる」


そう言って、俺は体育館の外に出た。


そこには禍神先輩と南岬先輩もいた。


あんまり、見られないようにしないと。

先輩だからな…。


「はぁぁ〜〜〜〜〜〜。」


「どうしたんだ?」


「いや、さ、大紀と練習すると昔みたいになっちまう。」


確かにあの時の南岬先輩は普段より楽しそうだった。


やっぱり、お互いに信頼してるんだろうな。


そういうのが、凄く伝わってくるボールだった。


たった、一球なのに……!


お互いの気持ちを全部乗せているようだった。