駆side


「彼がお前に憧れた後輩か」


「そーだよ。あいつには見せたくねーんだよ」


「そうか。でも、彼は近いうちに特別体育館に来るだろう。

その時お前はどうするんだ?」


「それは分かってる。だから、大紀が特別体育館に来た時は、頼むよ、駆」


それは本当に智紀の本心ではないであろうに……。


こいつとは伊達に2年間部を一緒にしているだけはある。


何となく察しがつくんだ。



「お前はそれでいいのか?」


「あいつは俺じゃなくても強くなれる。

それに、俺がこんなに性格悪くなっても大紀は折れないだろうな」


「信頼しているんだな」


「当たり前だろ。1年の頃からレギュラーで練習も人1倍な奴だぞ」


「そうか。分かった」


智紀がそこまで言うなら、彼はかなりいい人材なのかも知れないな。


きっとチームにも必要不可欠な存在となるに違いない。


なんとなくだが、そんな気がした。


「大紀見るとさ、俺と同じように見えるんだよ。」


「それは、どういう意味だ?」


「俺も兄さん目指してたからさ」


「なるほどな」


信頼しているからこそ厳しく言える。


信頼がなければもしかしたら、笠原みたいになるって事か……?


駆side終わり