私は動くことが出来なかった…

「大丈夫…大丈夫だから…」

「で、でも…渚が…渚が!!」

「わかってる…わかってるから…でも、だからって…死んだら何にもならないだろ!!なんで命粗末にすんだよ!!!!!」

「この手紙は…生きろって、如月さんに生きろって、書いてあるだろ!!如月さんが生きなきゃどうするんだよ!!」

えっ…

不意に渚の笑顔が頭の中をよぎった。

そうだ…私が…私が渚の夢…叶えなきゃ……

「俺が…俺が如月さんを守るから……ずっとそばにいる………だからもう、何も考えなくていいよ…何も背負い込まないでいい…もう…大丈夫だから…」

プツンッ

その瞬間、何かが切れた。

“ずっとそばにいる” 私は…ずっとこの言葉を求めていたのかもしれない。

強がってるだけで…本当は、誰かにそばにいて欲しかった…

そう考えたら…涙が溢れて止まらなかった。

そして…その涙は止まることを知らなかった。

「……うぅ…っ…渚…渚……」

初めて好きになった人とわかり会えた…思いが繋がった…

それだけで…十分だった……なのに……

なのに、渚への思いが溢れて…それが涙となって……止まることはなかった。

「……嫌だよ…うぅ…渚……っ」

「大丈夫…大丈夫だから……」

久しぶりに…誰の前で、人の目も気にしないで泣いた。

「渚…うぁ……ぅ………うぁーーーーん!!」

川野くんは…ずっと抱きしめてくれた。

誰が見ているのかも知らずに…

でも……そうしてくれた彼は…まるで…太陽みたいだった……





ごめんね……私なんかより、ずっと…… “あなた” の方が辛かったのに……

でもやっぱり… “あなた” は最後の最後まで…太陽でした……………。