薄紅色の涙

「青島。」


何故私が帰らなかったかというと、ご存知

の通り、及嵜君に音楽のプリントを教える

ため。

すっと顔をあげると、及嵜君が笑った。

「どうしたの?」


「いや?なんでもないよ。あ、音楽の先生

が、音楽室の鍵開けてくれたから、音楽室

でやろ。」


「いいよ。あ、そうだ。教えるっていった

のは私だけど、でも、音楽の先生に聞いた

ほうが分かりやすいかもよ(苦笑)」



「昨日聞きに行ったんだけど、先生が、鍵

開けっ放しで、出張に行ってて聞けなかっ

たんだよ。」


「あーだから音楽室に入れたのね。」



「そう。鍵開いてたからいるかと思ったん

だけどね。で、今日も出張らしいけど、教

室にはまだ人何人かいるし、どうせなら開

けてもらおーって思って今開けてもらっ

た。」


「おおー。さすが!私音楽室から見える桜

すっごく好きなの!」


「あー。すげー綺麗にみえるよな。」


あら、意外に及嵜君って話しやすいかも。

なーんて思いながら音楽室に向かった。