内田優花は無力である。
弱く、脆く、儚い。一言で言うと弱虫である。
泣き虫。とも言えるだろう。
そんな彼女は神田川万理華にいじめられる。
そもそも神田川万理華は幼馴染みであり四六時中一緒にいるほど仲が良かった。それなのに。いじめられる。人は分からないものだね。

万理華「あんたなんかいらないのよ。地味子ブス。とっとと消え失せなさいよ」

クスクス

周りからはクスクスと笑う声が聞こえる。

優花「ひっぐ…うっぐ…万理華ちゃん…なんでそんなこと言うの…?酷いよ…ゆーか悲しいから辞めてほしい…ぐすっ」

万理華「…そうね…悲しいわよね…ごめんなさい…あなたの気持ち考えてなかったわ…鬱憤晴らしに使ってしまったわ…ごめんなさい…今まで酷いこと沢山して…本当にごめんなさい」スッ

神田川万理華は内田優花に手を差し伸べる。

内田優花は心の底から喜んだ。また、前みたいに万理華ちゃんと仲良くなれるんだって。沢山遊んでこれまでの分を流してもらうんだって。
内田優花は彼女の手を掴んだ。

優花「万理華ちゃん…!」

万理華「優花…!」パッ!ドンッ!

優花「きゃっ!?」

きゃはははっ!!万理華ちゃんさいっこー!
流石万理華様!やることがエグイですね笑
もっとやれ!もっとやれ!

内田優花は一瞬自分の身に何が起こったか分からなかった。が、目の前で彼女が悪魔のように笑っているのに気付き、全てを理解した。周りのヤジも判断材料としては充分だった。

優花「…万理華ちゃん…嘘ついたんだ。」

万理華「えぇ。そうよ?あんたなんて、ブスでひ弱で何の利用価値もないわ。その上いっつも「万理華ちゃん」「万理華ちゃん」って正直言ってちっちゃい頃からあんたの事なんて大ッ嫌いだったのよね。ウザイのよ。とっとと消えなさいよ。死ねよ。私の名前がけがれるわ。2度と私の名前を呼ばないで?」

優花「…」

内田優花はこれまでにないほどの苦痛を感じた。身が裂かれるような思いだった。寧ろ裂いてくれた方が楽だったようにも思える。それほどに神田川万理華の嘘は重く、冷たく、鋭かった。



あの日から内田優花の心は冷たい氷に閉ざされ、死人のように反応がなくなった。