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昼休み。
私と菜子と一紀は、比較的人が少ない中庭のベンチで昼食を食べることにした。
学校の中庭は芝生が敷いてあって、至る所にベンチが置いてある。
ベンチとベンチの間は3メートルほど空いていて、小さめの声で話せば隣には会話は聞こえない。
お弁当を包んだ少し大き目のハンカチを開いて膝の上に乗せた。
「雄太郎さんが作ってくれたお弁当?」
「うん」
「卵焼き入ってる?」
「入ってるよ。一つあげるね」
「やった」
菜子は、久しぶりに雄太郎さんの卵焼きが食べれるのを心待ちにしていたようだ。
「本当に、いつも通りなんだね。お弁当もこうして作ってくれてるんだもんな」
一紀が、紙袋の中からげんこつ二つ分くらいの大きなおにぎりを出して、羨ましそうにお弁当を眺めた。
「雄太郎さんにとっては、私は大切な妹だからね」
私は、菜子のお弁当に卵焼きを一切れ入れて、もう一切れを一口でぱくりと食べた。
「でさ、これからどうするの?」
菜子は、卵焼きをもったいながるように半分に切って口の中に入れた。
「とりあえず、拓が知ってる情報を、俺が聞きだすことにしたよ」
「知ってる情報か……とりあえず、家の住所知りたくない?優花がもと住んでいたところに、直接行ってみた方が早い気がするんだけど」
「家って言えば……どうやら雄太郎さんの話だと、私のお母さんは生きてるみたい」
「え!?そうなの?」
「うん……家に飾られていた写真は、雄太郎さんのお父さんとお母さんなんだって」
「じゃあ、そのお母さんにとりあえず会えるといいね!」
菜子はにっこり笑って答えた。

