【完】さらば憧れのブルー




ゴールデンウイークから一週間後。

私は無事に退院することが出来て学校へと行くことが出来た。

 
教室に入るなり、「ずいぶん長い旅行だったんだね、羨ましい!」と色々な人から声をかけられた。

そういえば雄太郎さんが、「旅行」という名目で休んだと言っていた。
 

椅子に座り机の中を確認すると、一週間分のプリントや課題なんかが入っていて、『提出しろ』ってことで机の中に入っていたのかと思うと、吐きそうになった。
 
斜め前の席にいた一紀が、机の上に出したプリントの整理を手伝ってくれた。
 


「このプリントは来週までに提出だから、まだやらなくても大丈夫……あ、急ぎなのはこれかな。今日の歴史のミニテストで出る範囲のプリントだからやっておいた方がいいかも」
 


「なるほど……」
 


私は一紀の丁寧な説明を聞きながら、一つ一つに締切日をメモしていった。
 


「……気になってたんだけど、あれから雄太郎さんとどうなの?バレないように電話とかLINE控えてたからそのことで最近頭いっぱいなんだよ」
 


「バレないように、いつも通り過ごしてるよ。ちょっと居心地悪さは感じるけど……私より雄太郎さんの方がいつも通り過ぎて、なんだか気が抜けるっていうか……。昨日も進路希望調査一緒になって真剣に考えてくれたし」
 


「ふうん。てことは、雄太郎さん自身はは今まで通りすることがいいって考えてるってことだよね?」
 


「そういうことになるね」
 


「バレてないなら良かった」
 


「……だね」
 


「とりあえず、その歴史のプリント俺やってあるから、答え写しちゃえよ」
 


「サンキュー。助かる」
 


一紀は自分の机の中の歴史のノートに挟めてあったプリントを私に渡すと、制服の上着のポケットからスマホを取り出し、誰かとLINEをしているようだった。