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記憶を取り戻すと、三人で病室で決めた後、私たちは作戦を立てた。
それは、雄太郎さんと美由紀さんには知られないようにひっそりと動くこと。
今までの行動や言葉から、雄太郎さんと美由紀さんは、私が記憶を取り戻すことに反対をしている。
知られないようにするためには、私が潔く雄太郎さんと美由紀さんの言うことを聞いていると思わせるよう、演技が必要だった。
一紀と菜子が帰ったあと、電話で雄太郎さんを呼び戻した。
雄太郎さんは近くで待っていたのかすぐに病室に来てくれて私の隣に座って、黙って私の言葉を待っていた。
「前のこと……思い出さなくても今は十分幸せだし、もういいかなって思ってる」
自分の気持ちが透けて見えてしまっているのではないかと、内心どきどきしながらも、その言葉を告げた。
雄太郎さんはその言葉を聞くと安心したように微笑んで「それなら良かった」と、何も疑うこともなく前のように私に接した。
兄と妹のように。
しかし私には、雄太郎さんの『何も変わらない』姿が、なんだか異様なものに感じてしまった。
雄太郎さんは平気なのだろうか。
心にひっかかるものを感じながら、怪しまれないよう演じるためには、その雄太郎さんの行為を素直に受け止めるしかなかった。

