「大事なのは、優花がどうしたいかだと思う」
その言葉に菜子も力強く頷いて、「私もそう思うよ!」と私を見た。
「私は……」
どうしたいのか、考えた瞬間脳裏に浮かんだのは雄兄の……雄太郎さんの顔だった。
それは、とっても大好きなあたたかな笑顔。
私をいつも包み込んでくれた笑顔だった。
あの時……雄太郎さんから逃げ出した日。
気持ち悪いと思っっていたはずだったのに……。
「前の自分のこと思い出したい」
「じゃあ、決まり」
菜子は、私の言葉を聞いたと同時に力強く私の手を両手で包み込んで握った。
「優花がそう言うんだったら、俺も協力するから。とりあえず、さっさと元気になって退院してこいよ」
一紀は、立ち上がってひんやりとした風が流れ込んできた窓を静かに閉めた。

