「とりあえず、ここにいてもあいつはもういないみたいだし、この辺り歩いて探してみようぜ。ついでに青い海の場所も探そう」
「こだわるね、海」
「『今日は、楽しい旅行で青い海を見る。そして、たくさん思い出作る』だろ?」
「そっか……そうだね」
私は立ち上がって、一紀と一緒に海沿いに歩いてみることにした。
しばらくいくと、浜辺は徐々になくなり、上の道路に抜ける階段があったので、そこを上り道路に出た。
結構歩いたのか、私たちが止まるホテルは、半分くらいの大きさに見えた。
道路から海を見ると、水平線が見えて浜辺で遊ぶ子ども達の声やかもめの声、そして波の音が遠くに小さく聞こえた。
「あ、見て」
一紀が道路に立っている看板の地図指さした。
「青い海が見える場所書いてある」
その看板には、青い海という赤い文字と矢印が書いてあり、青い海が見える場所を親切に紹介してあった。
「徒歩10分くらいって書いてるけど、行ってみる?」
一紀が地図の写真をスマホで撮りながら、うきうきした表情で聞いてきた。
「今行っても……夜じゃないと見れないんじゃないの?」
「あ。そうか」
その地図を確認した後、ホテルの見える範囲で辺りを歩いてみたけれど、私のことを『サチ』と呼んだ男の子は見つからず、結局何も解決しないまま夜を迎えた。

