【完】さらば憧れのブルー

 
ランチを食べ終わった後、もしかしたらまだ浜辺にあの時の男の子がいるかもしれないと思った私は雄兄に、



「もう一度外に行ってきてもいい?」


と、提案した。
 


雄兄は、「一緒に行ってやりたいんだけど、もうちょっと休むよ」と言ったので好都合だった。
 


「高森君はどうするの?」
 


菜子が珍しく、高森君の動きを気にした。

高森君も、え?なんで、俺の予定なんて気にするの?とでも言いたいような複雑な表情で、「俺は、青い海の見れる場所まだ聞いてないし武田と一緒に外行こうかな」と答えた。
 


「ふうん……。私は泳ぎたいからプールに行こうかな。美由紀さん、一人じゃ寂しいから一緒に行きませんか?」
 


「いいよ。一紀ほど泳ぎはうまくないけど、ちょっとなら教えることは出来ると思うし」
 


「やった!ということで、私たちはプールに行くね」
 


菜子はそう言うと、周りには見えないようにして私にピースサインを送った。


そういうことね。

でも、正直今はそれどころじゃないんだけど……と思いつつ、私は菜子にピースサインを返した。