頭が……痛い……。
キーンという耳鳴りもして、立つことも苦しくなった私は、その場にしゃがみこんだ。
「大丈夫!?」
菜子が慌ててしゃがみこんで、私の手をぎゅっと握った。高森君も菜子と同じようにしゃがみこんで、私に背中を向けた。
「乗って」
「でも……」
「恥ずかしがってる場合じゃないよ。大丈夫、一紀筋肉もりもりだから」
美由紀さんが私の肩を抱いて、高森君の背中に乗るのを助けてくれた。
高森君の背中に体重を預けると、力が抜けてちょっぴり楽になった。
耳鳴りも一瞬だけで、今は頭だけが痛かった。
菜子が隣に並んで心配そうにしているので「大丈夫。頭痛いだけだから。しばらくしてたら収まるよ」と答えた。
「頭痛っていつもの?」
「そう。いつもの」
高森君と私の会話を聞いていた雄兄が「いつものって?」と心配そうに聞いてきた。
この頭痛は、昔のことを思い出そうとすると起こる頭痛だったから、雄兄に心配をかけさせたくなかった私はこの頭痛の原因を黙っていた。
「最近たまに痛くなるの。片頭痛かな……?」
雄兄に嘘をつくのは悪いかなって思ったけれど、私は嘘をついた。
「そうなの?頭痛薬どこかで買ってから部屋に行くから、先に休んでて」
「いらないよ。大丈夫。いつも薬飲まなくても治ってたし。それより、みんなはご飯食べててよ。私ちょっと休んだら行けると思うから」

