私は、右手で痛くなった後頭部の当たりを抑えて顔をしかめた。
 


「どうした?具合でも悪い?」
 


高森君が心配そうに尋ねてきたので、「うん。ちょっと頭が痛いだけ……こうして黙ってれば時期に収まるから」と答えて目を瞑った。
 

痛みがすぎるのを待っているうちにロングホームルームが終わり、クラスのみんなが立ち上がっている中、高森君だけは席を立たずに、私を心配そうに見守ってくれた。
 


「今日はバイトある?」
 


「うん、ある……」
 


「休めば?」
 


「ううん。あと5分もすれば落ち着くから行く」
 


私は痛む頭を軽く押さえながら片手で机の横にかけていた通学バックを取り机の上に置くと、その中に机の中の道具を入れた。

高森君が気を遣って、手伝ってくれて、「じゃあ行くか」と言って立ち上がると、私の通学バックを持ってくれた。
 


「いいの?」
 


「いいよ。」
 


高森君の家は、私のバイト先の写真屋さんの近くで、私がバイトがある日は、こうして一緒に帰っている。

私と高森君は、好きな歌手が同じとことか、コンビニの新商品のお菓子が出ちゃうとすぐ買っちゃうところなんかが似ていて、話が合う。

夢中になると二人とも興奮して早歩きになってしまうのだが、今日はいつもと違ってゆっくりだ。


私が頭が痛いのを気にして、高森君がゆっくり歩いてくれているのだろう。