「ということで高森君。高森君のお姉さんは、どうやら私のお兄さんと付き合ってたみたいで」
 


「すごい偶然だね。せっかくだから、みんなで家に着たらいいよ。一紀君も良かったら車に乗って。一緒に行こう」
 


雄兄は、運転席から降りて、どうぞどうぞと言って後ろの座席の扉を開けてくれた。
 


「ていうか……武田さんは、有村さんと話したいでしょ?俺、一緒に行っていいの?」
 


高森君は、私に遠慮がちに尋ねた。
 


「それなら問題ないよ。私と雄太郎でこれから家でゲームする予定だから、一紀は私たちに交じればいいよ」
 


「え!?なんのゲームするの?」



高森君は、ゲームをすると聞いた瞬間、目をきらきらと輝かせた。
 


「今日発売した、オールスターファイトの続編」
 


雄兄ちゃんは、そう言って高森君ににっこりと微笑むと、高森君を後ろの座席に誘導した。

高森君はそれを聞くやいなや、迷うことなく車に乗り込んだ。

高森君って単純なんだなあ。
 


私は、先に乗り込んで高森君の隣に座ると、それに続くように菜子も車に乗り込んだ。
 


「そういえば、菜子ちゃん、優花とクラス別れたんだって?」
 


「そうなんですよ……お兄さんの卵焼きつまめなくなっちゃいました……」
 


菜子は雄兄の言葉に、しゅんとして俯いた。
 


「私と一緒にいることよりも、卵焼きにがっかりしてるじゃん」
 


私が、菜子にそう言って突っ込むと「そういうんじゃなくてさっ!」と必死に否定してきた。

そんな菜子が可愛くて、私は必死に笑いを堪えた。
 
菜子に対して笑いを堪えている私を見て高森君が、「完全にSだな……」と呟いて笑った。
 


「それで?一紀はなんで二人と一緒にいたわけ?」
 


美由紀さんが続けて質問してきた。