「今日、美由紀家に泊まるから。ところで……菜子ちゃんがどうしたって?」
「あ。菜子も一緒に車に乗せてって欲しいの。家で話したいなと思って」
「ああ。全然構わないよ。もう一人一緒にいる友達はいいの?」
「高森君は、たまたま一緒になっただけだから大丈夫」
「……ん?高森君?」
美由紀さんは、私の言葉を聞いて、お兄ちゃんの頭の後ろから身を乗り出して窓から外を確認して、高森君を見た。
「あれ?一紀(いつき)じゃん」
一紀は高森君の名前だ。
「美由紀さん、高森君のこと知ってるんですか?」
「ははっ。知ってるも何も一紀は、私の弟だよ」
「え!?」
美由紀さんの言葉に驚いた私は、振り返って高森君を見た。
二人が突然振り返った私を見て不思議そうに見つめていた。
私は「ちょっと来て!」と言って、二人を手招きして呼び寄せた。
助手席に乗っていた美由紀さんを見て、案の定高森君は驚いていた。
「姉ちゃん!」
「はぁい。愛しの弟君」
美由紀さんは、高森君にひらひらと手を振った。

