「ねえ、こういう時どうしたらいいのかな?」
「うーん……私は、はっきり好きな人がいるって言ってフってたなあ……」
「え!?武田さんって好きな人いるの?」
高森君が急に後ろで大きな声を出すからびっくりして振り返ると、高森君は、じっと私のことを見つめていた。
「……面倒だから、そう言ってフってただけ……」
「あ……そう、なんすか……」
高森君はそう呟いて、「どうぞ続けて下さい」とでもいうように、手のひらを返して、私と菜子を差した。
私は小さく頷くと、菜子に目線を戻した。
「でもさ、そうして嘘ついてフっちゃうのも、なんだか悪い気がしない?」
「まあ、そうだけど、それ以上その人とどうにもなりたくないのなら、その方がいいと思うけど……その人に何か答えたの?」
「ううん。恥ずかしくて何も答えずに逃げちゃって……」
「それって、そいつにとってはフラれたようなもんじゃない?たぶん、そいつもそう思ってるかも。あ、これ同じ男として考えたときの一意見ね」
高森君がそう言って私の隣に並んだ。
菜子は、高森君の言葉を聞いてぱっと顔を上げ、すがるような表情で私を見つめて「そうなのかな?」と聞いてきた。
「どうだろ?私が男だったら、まだはっきり答えられたわけじゃないし、諦めないかも。私は、はい。か、いいえかで答えが欲しいタイプだから」
「なるほど……そういう考えもあるか……」

