「クラス……別れちゃったね……」


ここの高校に転校してから初めてできた友達の菜子(なこ)が、トレードマークのこまり眉をさらに下げて呟いた。


「まあ、そういうこともあるよ。理系クラス人が少ないからいけると思ってたけど……まあ、確率が三分の一だし、こうなる場合の方が……考えられたよね」


落ち込む菜子をはげまそうと思って明るく声をかけようとしたけれど、私の声のトーンもどんどん下がっていく。

私たちのすぐ隣には、同じ中学から入学してきた子達なのだろう、「やった!同じクラスだね!」と言ってハイタッチをするパリパリの新しい制服を来た新入生が嬉しそうにはしゃいでいた。



「……それじゃあ……あ!今日帰り早いし、カラオケ行く?優花(ゆうか)のクラスに行くから、待ってて」



「うん!今日バイトが5時からあるから、4時くらいまでしか遊べないけど」



「全然大丈夫!」



目の前の不安からの逃避活動としての、妙にテンションの高い会話が繰り広げられる。

テンション高く菜子のクラスについたものの、同じ教室に入れないと思うと急に水をかけられた花火みたいに、しゅんとしぼんでしまう。



「じゃあね、菜子。迎えに来てね」



そう言って菜子に手を振ると、私は隣にある自分のクラスへと向かった。教室に入ると、すでに教室に入っている女子たちが楽しそうに話していた。

理系クラスということもあり、女子が文系よりも少ないから早めに打ち解けて友達を作りたかった私は、黒板に書かれた自分の座席を確認して通学バックを机の横にかけ、話をしている女子たちに話しかけた。