放課後ホームルームが終わってから、菜子のクラスへ向かうと、菜子が廊下で待っていてくれた。
人見知りの菜子は、私の隣に並んで歩いていた高森君を見てぎょっとしていた。
「菜子、ごめんね。そんなに眉毛下げないで」
私は、菜子にかけより、菜子の眉毛を無理やりあげようとした。
「え?誰?」
菜子は私の陰に隠れながら不審そうな目つきで、高森君を見上げた。
「急に連れてきてごめんね。高森君が一部始終を知っていたから、一緒に連れてきちゃった」
「一部始終って?」
「菜子。私聞いてないよ?昨日付き合わない?って……言われてたんだって?」
私は、陰に隠れていた菜子の体を私の体の前にぐいっと引っ張ると、菜子の顔を覗き込むようにしてかがんだ。
菜子は、それを聞いて一気に耳まで赤くして、「ちょっと!シーッ」と言って、私をぐいぐいと引っ張って玄関まで連れ出した。
高森君は私たちの後ろを様子を伺いながらついてきた。
「あの人って……昨日カラオケにいた人だよね?」
菜子はちらちらと後ろにいた高森君を振り返りながら私に耳打ちをした。
「うん。いたよ」
「優花と同じクラスの人?」
「そうだよ」
「ということは……昨日私が、その……そういうことを言われたことって結構みんな知ってるってことなのかな?」
「どうなんだろう」

