「妬いてる?」
「当たり前だろーが……」
一紀はくしゃくしゃと頭を掻きむしって、私を一目すると、人目を盗んでキスをした。
それは本当に一瞬で、触れたか触れないか分からないくらいの優しいキスだった。
「あ……」
「なんだよ……」
「私、ファーストキスだ……」
「……へえ……」
「一紀は?」
「は!?や、どうかな!?」
「え!?初めてじゃないの?」
一紀は逃げるようにその場から歩いて、中へ入ってしまった。
そんな一紀の背中をぽかんと口を開けて見ている自分に気づいた。
「妬けるなあ……」
そう言った私の顔には、自然と笑みがこぼれていた。
消えて行った飛行機の方向を見上げて呟くと、一紀の背中を追いかけた。

