雄兄のことを好きだと

そのことを思い出そうとすると痛む。


 
「だって、私と雄太郎さんは友達で……私が依存しすぎたせいもあって、兄弟ということにして傍にいてあげたらいいんじゃないかって」
 


そう。

だから私頑張ったんだよ。

雄太郎さんから卒業しなきゃって。

それで少しずつ雄太郎さんといる時間を少なくして、菜子と一紀と一緒にいるようにして。

自由にしてあげなきゃって。

大丈夫だよって行動で示していかなきゃって……。
 


「私の記憶は、『間違って』なんかない。だって、雄太郎さんがあの時飲ませた薬は記憶を『戻す』薬で……」
 


「それ、本当は『戻す』薬なんかじゃなく、『書き換える』薬だったんじゃないか?」
 


「え……?」
 


「雄太郎さんのことを『好きだった』気持ちを『書き換えられた』んじゃないのか?」

 

雄太郎の言葉にズキンと胸を刺されたような痛みが私を襲った。

でもそれと同時に、ああ、もしかしたらという考えがストンと降りてきた。