食事がすんだあと、美由紀さんのご両親に挨拶に行くということで雄兄と美由紀さんが出かけていった。


相変わらずな不機嫌な表情を浮かべた一紀の向かいに座り、淹れたばかりのコーヒーをふうふう覚ましながら一紀を見つめた。
 


「コーヒー飲まないの?」
 


「ちょっと、考え事してるから」
 


「……ねえ、私、一紀のこと好きなんだよ?」
 


「いや、そうなんだけど……」
 


「何?」
 


「納得いかないって言うか……嬉しいんだけど」
 


「じゃあ、付き合うのやめる?」
 


「それは嫌だ!」
 


「でしょう。もういいじゃん、何勘違いしてるか分からないけどさ、私は一紀が好きなんだって。私、雄兄のこと好きだなんて言ったことあったっけ?」

 

私は、昔のことを思い出そうと目を閉じた。

その瞬間だった。




―――――ツキン。