「私、雄太郎さんのこと、彩智の時、何て呼んでたんですか?」
 


「……雄太郎……」
 


「呼び捨て?」
 


「そう。すっごい生意気なやつだなあと思ってた」
 


「……そうですか」



昔の私って、結構困ったやつだったんだなと情けなくなって苦笑いしてしまった。
 


「美由紀さんのこととか薬のこととか……本当いっぱい自分の中で消化しきれていないところはあるんですけど」
 


私は、隣にいた雄太郎さんを見上げた。
 


「すいません。私そんなことより、今すごく気になることがあるのでそれを聞いてもいいですか?」
 


「何?」
 


「雄太郎さんは、『彩智』のこと、好きだったんですね」
 


それを口にしたと同時に、堪え切れない感情が涙になって溢れた。

雄太郎さんはそんな私を優しく見つめて「そうだよ」と呟いた。



「……雄、太郎……」



私が呟いたと同時に、雄太郎は泣きそうな顔をして顔をくしゃっとした。

そしてその表情は一瞬のうちに見えなくなった。

雄太郎の温もりが唇から柔らかい感触とともに伝わってくる。


そして、その唇が離れたと同時に雄太郎は「『彩智』も『優花』も好きだよ」と言って、私を抱きしめるように両手で包み込むと、もう一度キスをした。


そして唇を離し、私を強く抱きしめた雄太郎は、私の耳元で「ごめんね」と呟いた。