【完】さらば憧れのブルー

 
菜子は、黙っている私と一紀を交互に見ながら麦茶を飲み干すと、「写真見終わったあとはどうするの?」と聞いてきた。
 


「私、行きたい場所がある」
 


「どこ?」
 


「青い海。海で気を失う直前、目をつぶった時に見えたのが青い海だったから……もしかしたら何か思い出せるんじゃないかと思って」
 


「じゃあ、どうやって行くか調べておいてね。頼むよ、名探偵!」
 


菜子は向かいに座っていた一紀の肩をトントンと力強く叩くと、「がんば!」と励ました。
 

一紀は、にこっと笑って「おう」と返事をすると、私にもにこっと微笑んだ。

いつもと変わらない笑顔にほっとした私は、一紀に笑顔を返した。







 
拓が二階から持ってきたものは、幼稚園、小学校、中学校の卒業アルバムと個人のアルバムだった。

『彩智』だったころの写真を見てみたけれど、私と一紀は、中学校の卒業アルバムを見たときと同じ気持ちを感じていた。


それは菜子も一緒だったようで、「なんだか、どの優花もあんまり笑ってないね」と、アルバムをペラペラとめくりながら呟いた。