「そっか……そうだよね。家族だもんね。信じてあげたいよね……。私、そこのところ全然分かってなかった。ごめんね。私が『みんな悪者』なんて言うから……」
菜子に握られた手の上にタチタチと菜子の涙が落ちてきた。
「あれは、菜子が私のために言ってくれた言葉でしょ?嬉しかったよ」
私はショルダーバックの中からハンカチを取り出して、菜子に渡した。菜子は、「自分で使いなよ」と言って、自分のショルダーバックからハンカチを取り出し、ごしごしと涙をこすった。
「だから、俺に気使って知りたくないなんて言うなよ……雄太郎さんのこと、その……好きなんだろ?」
「えっ」
「ああ……言っちゃった……」
一紀はそう言うと、自分の言葉への私の反応を見てへらっと苦笑いをした。
「え?そうなの?」
拓が、虚をつかれたような顔をして私を見た。
「いや、その……家族だから、雄太郎さんは」
「ふうん……」
拓は、私のその答えに納得がいかないようで、唇を尖らせながら正座していた足を崩してあぐらをかいた。
「あのっ!そういえば、拓の家に私の写真ある?この前卒業アルバムの写真送ってくれたでしょ?そういうのあったら見たいなって思ってて」
「あるよ。ちょっと待ってて」
拓は、二階に足取り重く上がっていった。

