「ねえねえ、一紀ジェラシーむきだしだね」
 


菜子が、私の隣にぴょんと移動してきて、ひそひそと話しかけた。
 


「まあ……うん……実は、この前告白されたんだ」
 


「ぅえっ!?そうなの?」
 


「うん。とりあえず色々落ち着くまでは答えは保留でいいって」
 


「え?なんで?だって優花も一紀のこと好きだったじゃん」
 


「そうなんだけど、ちょっとね。雄太郎さんのことが気になってて」
 


「雄太郎さん?」
 


「うん……」
 


「……」
 


菜子は、私のその言葉から私の雄太郎さんへの複雑な思いを感じ取ったようで、黙っていたがしばらくした後、「ごめんね悪者なんて言っちゃって」と私に謝った。
 


「いいの。私も混乱している部分があるし」
 


「そっか……」
 


しゅんとしている菜子と私に向かって「おおい」と一紀が呼ぶ声が聞こえた。声の方を見ると、バス停に隣接してある駅にコインロッカーがあったようで、そこの前で拓と並んで手を振っていた。
 


「いこっか」
 


私がそう言って菜子ににっこり微笑むと、菜子は安心したように笑って「うん」と頷いた。