「よし…」
霰が安心したようにため息をついた。それに続いて私達も座り込む。
私達は誰1人言葉を発さなくなった。


「ひ……、ふた……、…んに…」



体育館への通路から女の子の声が聞こえる。



「雫……」
「来てしまいましたね」
「どういう…」
雫に静かにと手で指示されてしまった。そして、私は言い直す。
「どういうこと?来たって……」
「呪学校にいる女の子……」
雷君が震えながら言った。
「ここは呪学校。呪われた女の子がいる学校。ある時、呪学校にて、呪い…負感情の波が超えし時、呪いは女の子の形になりて現れん」
「なんですか?それは……」
「私達、霧霜家に伝わる言い伝え。この学校が建てられた時からずっと、霧霜家が見張りをしていた…」
「呪いの高ぶりが無いように……」
「だが、起きてしまった。その力でとはいわゆるこの呪いを封じる事でしょう…ソウラさんが知ってた事には疑問を感じますが……」
「ミアユ…皆。私達に課せられた使命を手伝って……」
「霰…」
霰の目には涙が浮かんでいた。そして、力が本当にあるなら率先してやらなければと思った。
「私は…藍澤 ミアユはいいよ。力が本当に…私がその呪いを封じる事が出来るなら…」
「ミアユ…」
「ミアユちゃんの後ろは私が守るよ!だから私、雪咲もお手伝いいたします」
「雪咲さん」
「しゃあねぇな!雪咲もミアユも言うなら私も手伝うに決まってんじゃん!」
「ありがとう。皆、ありがとう!」
感動的な場面に水をさしたのは一つと言わんばかりの叫びだった。

「化け物!」
「いやぁぁぁ!」
「来ないで!」
「殺される!」

「っ!呪いが……」
「こんな時に悪いけど、あの女の子に名前ってないわけ?」
「……この学校の南川律から取っ…ううん。あの子の名前から取って南川律になったの……あの女の子の名前は……南川 律月(みなみかわ りつき)」
「律月…」
「もともとは、呪学校はたくさん存在していた。でも、もうこの学校しか残ってない…。霧霜家皆この地に集まった…。でも、りつはとっても凶暴かつ、なかなか封じる事ができない…だから、私達は力を要求した。ミアユ…あなたの事。ごめんなさい。あなたには生まれ持ってしまった使命がある。でも、なんでミアユの兄が知っていたのかやっぱりよくわからない…」
「でも、1回…抑えたんだよね?」
「うん。でも、ミアユ程の力がなかった。だから、抑えるだけの形になった」
「…僕達の力不足もだよ……僕が…僕達が力があれば、咲輝(さき)も死ななかったんだよ……死なずに…僕が犠牲になれば……」
「雷っ!」
「霰……」
「確かに私達は未熟だった。その未熟さ故咲輝が守ってくれた…だから、次は死なせない。咲輝は後悔してないと思う……。咲輝は願ってる…律月を抑える形ではなく…消滅させる事をきっと。だから、雷…犠牲などというな」
「雫……」
「咲輝って?」
「ミアユの前の子……その時はここまで霧霜が集まっていなくて非力なまま戦ったの。畳み掛けようとした時に私達がミスを犯して…それで……それで……咲輝が」
「……」
「…霰…泣くな」
「私達でしっかり終わらせよう……咲輝の為にも…私たち自身の為にも」
「うん!」