わりとすぐにきたエレベーターに
乗り込んで8回のボタンを押す

ついこないだまで好きだった人と
ふたりとかすごく緊張する

ついこないだまでというか
今も?危ういんだけど…

ってダメダメ!
諦めるんだってば!!



(グラグラ)

(ガタンッ)




「きゃっ」

「?!」

「え?なに?…止まった…?
え?どうしようどうしよう」

「はぁ…お前いちいち反応が
めんどくさいな、とりあえず
緊急の連絡ボタン押せよ」

「すいません、動揺しちゃって…
これですよね!」



怖い、ボタンを押す指が震える



(はい、管理会社です)

「あの、エレベーターが止まったんですけど」

(あ、地震の影響ですね、
安全確認後自動で復旧しますので
申し訳ありませんがそれまで
もうしばらくお待ちください、
復旧前にまた連絡します)

「…わかりました」

「…」

「すぐ、復旧しますよね…?」

「知るかよ」

「そうですよね…」





わたし狭いところも
閉じ込められるのも
本当にダメなんだよね


怖いよ震えが止まらない
目をつぶってたらまだましかな?
どうしよう、なんでよりによって
龍野さんといっしょのときに…




もしもこのまま誰も来なかったら


どうなるの?





誰も来ないよ
君は一生ここにいるんだ
死ぬまでね




「……はっ、はぁ、…はぁ」



嘘っ息苦しいっ



「…おい」

「ケホッ、はぁはぁ、…はぁ、くるしっ」

「はー、お前まじでめんどくせぇ…」



グイッと腕を引っ張られる



「とりあえず座れ深呼吸しろ」

「で、きっな、…はぁはぁ…
いや、だ、いやっ、いや!怖い!!」

「おい!!暴れんな!落ち着けって!」

「……怖い!はぁはぁっ、怖いよ!
助けて!誰か助けて苦しいっ」

「ったく仕方ねーな」

(ギュッ)

「大丈夫だから落ち着け、
俺は何もしないしエレベーターも
すぐに動く、大丈夫だから」

「はっ、はぁはぁ、
だ、いじょ、うぶっ…?」

「大丈夫だから深呼吸しろ」



優しい口調、心臓の音、温かい


わたしはそのまま眠ってしまった