こんにちは、頭蓋さん。




ところでこの反応から見ると、"頭蓋さん"という名前はあった人全員に教えるものではないらしい。


頭蓋さんをそう呼ぶのは、知る限り私と麻野さん、そして竹永さんのみ。


どういう基準でそう教えているんだろうか?
なんだかさらに彼について謎が深まっていく。



「……どうして桐島さんが頭蓋さんのことを訊くんですか?」



竹永さんが上目遣いで誰にともなく問いかけた。麻野さんがオーダーのパスタをフライパンで混ぜながら答える。



「頭蓋ちゃんはウチのアパートに住んでるのよ」

「ーー……え、え?」



あまりに予想外の答えだったようで、目を白黒させながら竹永さんはテンパっていた。


大方「彼女だからって、これ見よがしに頭蓋さんのことを聞くのね」と思っていたんだろうけど。


女って鋭いな、私は本当は彼女じゃないけれど。なんて考えながら、理子さんと竹永さんが頼んだパスタをテーブルに運んだ。


あまり音をたてないように皿を置いて、その辺に居ておこうと踵を返した時、新井さんの視線に気付く。



「せっかくだから、今度うちに桐島さんも来ないか?」

「あら、いいわね! ちょうど企画展も始まるし」



どうやら勧誘らしい。


新井さんがニコニコ笑いながら、鞄からパンフレットのようなものを取り出した。


それに目を移して、驚愕する。



「え、みなさんが働いてるのって」

「こっから電車で30分くらいの美術館」



菓の予想が当たったのだ。あいつ寝てたくせに。