「これからどうすればいいのか、わからないの。私たち付き合ってもいないのにキスだって、それ以上だって……」
「ああああ、いい、その辺はいいよ飛ばせこのやろー」
気遣いの仕方が強引で雑だな。
「それなのに、言ってくれる言葉はどうも本気に聞こえない」
「どーいうことだ?」
「愛してるよ、とか言われても嘘っぽく聞こえて」
そう、よく彼は俺の愛のおかげかな、とか綾好き、なんて言っているが、どれも同じ調子でいまひとつ真実味がない。
私の高校生までのウブな感覚が抜けていないのかわからないけれど、大人でもそういう告白って大事にするだろう。
「自分から告白すれば?」
「だってわたしは彼のこと、好きなわけじゃないの。今までも自分から好きになった相手と付き合ったことはないし……」
「……めんどくせー奴」
「だからどうすればいいのか、困ってるんじゃない」
菓は頭を抱えてなにも言わなくなった。
俯いて話しかけるなオーラを醸し出している。何か考えてくれているんだろうか。
今のうちに料理を食べておこう。話をしながらだとなかなか進まない。
もともと食べるのがそこまで遅くない私がスプーンを置いたころ、ようやく向かいで頭が動いた。
「菓?」
「……あーよく寝た、ッいってー!!」
「馬鹿!」
ただ寝ていただけか。少し期待したこっちが馬鹿だった。
バッグから取り出したB5のノートで思いっきり殴って怒りを抑える。
すると菓がまあ待て! と頭をかばいながら小さく叫んだ。渋々引き下がれば得意げな表情をする彼。
「今度美術館に行こう」
