頭蓋さんはすでに会計を済ませたようで、私のバッグを持って喫茶店のドア付近の壁に寄りかかっていた。 「すみません、遅くなって」 「いや、大丈夫。なんかあったの?」 ふにゃりと笑いながらそう言う頭蓋さん。バッグを受け取りながら彼を盗み見た。 普通だ。……いや、この普通が普通じゃないかもしれないのだ。ややこしいな。 「なに?」 「……いえ、なんでもないです。帰りましょうか」 無理させてる。 彼女の言うとおりなんだろうか。 帰りは彼と何を話したか、あまり覚えていない。