私の全身をじっと見る視線からは不快感しか感じない。
「……あ、合わない気がします」
「は?」
「頭蓋さんとあなた。だって彼は今年で29歳ですし、聞くにはあなた大学生っていうし」
「……え」
29歳!?嘘だろう。だってせいぜい25くらいだと思っていたのに、まさか三十路って。
若作りイケメンだったのか。
でもファンデーションを塗っているところなど見たことはないから、意識せずに若さを保っているのか。女性の敵だ。
内心思い切り動揺したが、どうやら外には出ていないようで、竹永さんは私に気を留めず話を続ける。
「わたしの方が彼と釣り合ってると思うんです。彼とは二歳差だし、同じ職場だし」
なるほど、落ち着いた雰囲気なわけだ。身を固めてもおかしくない年齢。
「今日のデート、見させてもらいました。……わたしは彼に告白したんですが、振られてしまったんです。彼女がいると聞いても納得できず、デートしている様子を見たら諦めきれると思って」
ああ、だから最初に誘った時、頭蓋さんは「助かった」と安心していたんだ。
そして途中彼に焦る場面があったのは、私たちがカップルに見えないといけなかったから。
