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感想を一言で言えば、面白かった。
こんなにハラハラしながらスクリーンを見たのは初めてだ。いや、そもそも映像を見る機会がないんだけど。
今いるのは映画館の隣にある落ち着いた雰囲気の喫茶店。二人ともコーヒーをオーダーして待っているところだ。
「頭蓋さんは映画、どうでした?」
「んー?やっぱ背景も人物も素晴らしいよね。ファンタジーって実際にその舞台があるわけじゃないじゃん、モデルがない限り。そんな中であそこまでリアルに背景を描けるのはさすがだなって。人物の特徴もいいね、歩きや笑いが人それぞれ違う。それになんとも言えないのがあの配置ーー」
「お待たせしました、コーヒーでごさいます」
……今のは店員さんが来なかったらずっと喋ってたぞこの人。
コーヒーがきたことで我に返ったのか、頭蓋さん一口飲んでから小声でごめんと謝った。
「頭蓋さん映画の内容覚えてます?」
「……絵に夢中でした」
ですよね。そうだと思いました。
美術が好きな人って皆こんな感じなんだろうか。もしかして以前バーに来ていた新井さんも?
「大丈夫、どうせ配信されたらスマホで観るから」
実に現代的だ。
そうか、その手があるのか……。私もガラケーからスマホに変えてみようかな。
そんな感じで、映画の感想を言うとまた頭蓋さんが暴走するから別の話題で盛り上がっていた。
