こんにちは、頭蓋さん。




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私の朝は二種類に分けられる。一つは私が自室で起きる場合で、もう一つは言わずもがな、頭蓋さんの部屋で起きる場合だ。


と言っても、最近は後者の回数が増えているような気がする。恋人同士でもないのに何をやっているんだか。


目覚まし時計の耳に響くアラーム音を叩き消し、ゆっくりと上体を起こした。

一介の大学生が所有するものよりも明らかにふかふかなベッドの上だ。


そこに座ったまま、隣で小さく寝息をたてながら眠る男の頭を控えめに揺らした。



「頭蓋さん、起きてください。今日は休みの日じゃありませんよ」

「…………うーん……あと五分だけ」

「じゃあせめて、腰に巻きつけてる腕を外してください」



私の腰には、頭蓋さんの華奢に見えて案外しっかりとしている腕が巻きついている。

そうでなければとっくに朝食の準備をしにーーいや、まずは服を着るのだが。


しかし迷惑なことに、この腕は聞き分けてくれない。むしろ先ほどまでよりの強く抱き込まれて困る。


どうしたものかと途方にくれていたとき、ベッドサイドのテーブルにあるスマホが震えた。


私はガラケーしか持っていないので、スマホの画面を見るのは新鮮である。


興味が湧いて、身体は動かさずにそっと画面を覗き込めば、中央に誰かからの新着メールが表示されていた。