こんにちは、頭蓋さん。




『S彼のお仕置きといえばどんなものが好きですか?』

『もうキスをお仕置きって言ってるやつはヤバイっすよ!なにその溺愛してる感じ、って悶えますねー』



はたく手を準備したところで、テレビからそんなインタビューが聞こえてきた。


正面を見るとまださっきと同じ格好でこちらを見ている頭蓋さんと目が合う。いい加減イラつく。


……そうか、こういう時にお仕置きするのか。



「頭蓋さん」

「なーんですか綾」

「お仕置きです、」



彼の手は案外あっさりと顔から離れ、露わになった形のいい唇に私のそれを合わせた。


そうすることが分かっていたかのように、頭蓋さんはゆっくりと私の背中に腕をまわす。


重ねるだけでは足りない。そう言っているかの如く舌が唇をつつき、口内へ侵入してきた。



「っ、馬鹿め、」



これを待っていたんだ。引っかかったな、と。まさに口内をまさぐろうとしていた彼の熱い舌に歯を突き立てた。



「ーーッ、」

「阿呆ですか、お仕置きですよ?」



ニヤリと笑ってやれば、相当痛かったのか頭蓋さんは涙目でこっちを見てきた。しかし背中にまわされている腕はそのままだ。



「これからは分かってて私の気に障ることしないでくださーー、」



とさり。優しい音が耳に届く。


冷たい革製のソファーに押し倒されたのは何回目だろうか。


頭蓋さんは顔が近づく間に、器用にリモコンでテレビを消した。無音になった部屋を、彼の声が支配する。



「遊びで俺を誘っちゃった綾に、お仕置きしないとね」



降ってきたキスはお仕置きと言うだけあって、なかなか意地悪で性格の悪いものだった。