こんにちは、頭蓋さん。




あまりに涼しげな顔だがやっていることはつまり間接キスなるものであり。



「え?だってキスなんて何回もしてるし」

「阿呆」

「はいはい。それより新井さんには何もされなかったよね?念のため聞くけど」

「何もないですよ」



呆れてものも言えない。


大体私に手を出そうとする物好きは頭蓋さんしかいない。


高校時代はそれなりに告白などされたけど、私の故意ではない冷たい物言いと態度で何度も破綻してきた。


こんな可愛げのない女に、いかにも仕事ができそうでダンディな方が興味示すものか。



「……いや、新井さんはそんなに心配してないんだけどさ。奥さんいるし。でも綾がね」

「は?」



私ですか。ちゃんと接客出来たしただテーブル拭いただけだからバイト内容はこなしている。



「そんなに心配なら監視カメラでも付けたらどうですか。別にここからワイン掻っ攫ったりしませんし」



烏龍茶は勝手に飲んだけど。



「……いや、そういうことじゃ」

「意味がわかりません」