こんにちは、頭蓋さん。




「桐島さんだったかな、次にまたここで話せることを楽しみにしておくよ。……そうだ、君は芸術に興味はあるかな?」

「まあ、そこそこですが」

「よければーー」



そういったときの新井さんは、とても嬉しそうに見えた。彼が内ポケットから何かを取り出そうとしたとき。



「こんばんはー」



ベルが控えめに音をたて、来客を知らせる。


二人でドアの方を見れば、ティーシャツにカーディガンを羽織っただけでモデルのように見える頭蓋さんが帰ってきていた。



「……いらっしゃいませ」



ぼそりと呟いてみると、小さい声だったのにしっかり聞き取った彼は目を見開いて私を見る。


数回瞬いてそばにやって来る彼の姿はなかなか面白い。



「ここでなにしてるの……あれ、新井さん?」

「ーーどうしてここに。お前も客か?き、」

「うわあああ、そうです新井さん、客です俺」



新井さんの低い声が突然叫び声により遮られる。き、ってなんだろうか。そして彼らは知り合い?


そんな疑問をする間もなく頭蓋さんがこちらに詰め寄ってきた。



「綾、なんでカウンターにいるの?新井さんは?」



この瞳は見たことがある。嗚呼、うざい。前に菓と電車に乗った時の瞳だ。つまり嫉妬。どうも沸点が低い。