こんにちは、頭蓋さん。




それで、と麻野さんはグラスを出して烏龍茶を注いでくれる。



「そんな桐島ちゃんがなンの御用?」



中年のオカマがカウンターに頬杖ついて微笑む様は、若い若い大学生からしたらなぜか無性に腹が立ってくるものだった。


とりあえず烏龍茶を飲んで一息。



「ここで働かせてください」

「……アラ」



麻野さんの目が僅かに見開かれる。揺れるのは恐らく付けまつ毛だ、引っこ抜いてみたい。



「……ふぅん?それが貴女の"人にものを頼む態度"なワケ?」



にんまりとした顔で言われた。


もう一つグラスを持ってきて自分用にワインを注ぐ彼。いいのか商品。



「……それ相応の態度です、これ」

「アタシも随分と嫌われたものね」



皮肉ととられた。


でもさっきの私の頼み方って普通に良いと思うけど。ほら、有名なアニメ映画でお婆さんに頼む時もこんなだったし。


麻野さんが私の思考を見透かしたように、必死さが足りないのヨと告げた。



「……まぁいいわ、雇いましょう。バイトでいいわね?」

「はい、もちろん」



こうして、知り合いのよしみでオカマバーにてバイトすることになった。……いや、私はオカマじゃない。女だ。