こんにちは、頭蓋さん。




よく考えてもみてほしい。


ここは一人暮らし用のシンクの側で、余ったカレーの匂いが強くて、先ほどの彼の言葉を借りれば「ムードが無い」。


正直今も背中がシンクのふちに当たって痛いし……あれ、すること前提でもの思いにふけってる私が恥ずかしい。


と、頭蓋さんはそんな私の思いを見透かすようにニヤリと笑って、手を私の背中と膝裏に回して抱き上げる。



「ヘタレに流される綾はなんなの?」

「……」



答えられず、頭蓋さんの肩に顔をうずめた。



***



少しだけ目を刺激する光に、眠気を抑えながらゆっくりと瞼を開けた。


しかし、カーテンから差し込む光をほとんど遮るのは、目前にある剥き出しの上半身。



「、……!」



そこに顔をうずめる形で眠っていたことに気づいて、急いで離れようとするが逆にんん…と吐息を漏らし強く抱きしめられる。


嫌だ、心臓に悪い。


身体をよじるのはムリだと判断し、頭だけ動かして時計を探した。


ああくそ、いつもは煩く存在を主張する目覚まし時計が簡単には見つからない。



「5時半……」