「……はぁ?馬鹿かお前」
呆れのため息とともにそう言った菓にムカついた。一発殴りたい。
お昼時、いつもの通り菓とカフェにいる。初めて会った日から、あまり用も無い日は連絡を取って一緒に食べているのだ。
「彼女からの弁当ってすげー嬉しいんだぞ」
「私彼女じゃないし」
細けーことは気にすんなと笑われる。
「大体今更お弁当作ったって、なんだか褒美目当てって感じもするし…」
「んなもん弁当欲しさに彼が言ったんだから、ありがたく受け取ってやりゃいーじゃん」
「…うーん、」
「あ、今面倒くさいって思ったな」
ばれたか。いつにも増して目つきを悪くさせていると、菓がニヤリと口元を歪ませる。
「もしかして料理に自信がない?そーだよな、彼氏は彼女の料理はどんなに不味くても喜んで食うからなー」
「馬鹿。そんなんじゃない」
「だったら作れ。……まったく、彼女いない歴イコール年齢の俺に言ってもあんま良いアドバイスはねーぞ?」
なんて、何かを懐かしむような目になった彼。いつもキャーキャー騒がれてるのに彼女はいなかったのか。
まぁぼっちに彼女がいたら驚くけど。
水を飲みつつ当然のことのようにそう考えていたが、菓の次の一言に動きが止まった。喉を水が通る感覚がやけに伝わる。
「あ、いや、告白されたことはあるんだぞ。振ったというか」
