こんにちは、頭蓋さん。




「……お弁当、だめ?」

「冷凍食品でいいなら作りますよ」

「綾の愛がこもったものなら!」

「冷えて凍った食品のどこに愛を注ぐんですか」



冷凍食品の弁当を喜ぶかな、普通。


少し異常なモノを見る目で頭蓋さんを見つめていると、気にしないのか逆に微笑まれた。



「お弁当、作ってくれたらご褒美あげるよ」

「……え、」



たかが弁当にお礼ですか。好奇心が湧く。一体どんなものを?



「あ、もう準備してるけど、秘密」



頭蓋さんは薄く笑った唇に人差し指を当ててポージングした。なんだか褒美の為に頑張るみたいで嫌だけど、まぁ仕方ないか。



***



…と、思ったものの。



「………え、お弁当、ないの…?」



普段通り騒がしい目覚まし時計を止めるために頭蓋さんの部屋へ行き、彼を起こした。


今日の彼はなぜかぱっちりと目が覚めていて、不気味なぐらい笑っていた。


そして朝食を食べている今、弁当は?とニコニコしながら訊かれたのだ。



「……ごめんなさい、忘れてた」



悲しみに打ちひしがれたような顔をして俯く彼の姿は見ていられなかった。そんなに手作り弁当が食べたかったのか。