「な、なんでそうなる?」
「彼氏に浮気されてると思われたくないんだろ」
彼氏持ちはキツイねと大きく伸びをしながら言う彼の腹を一発……いや、理性を保て自分。
そしてある人を思い出して顔を赤くするんじゃない。
「残念だけどいない」
「……あら。じゃあここで俺が告ってくるの期待した?した?」
「馬鹿じゃないの」
ああウザい。
大学を出て、寄り道をするでもなく駅に行く。あくまで一緒に帰るだけだし店を回るほどの仲の良さではない。
その間は他愛ない話で時間を埋めた。
「実はな。お前孤立してるだろ。高校の時の後輩に似てて声かけざるを得なかった」
「おせっかい」
「だってほら、中学校ではよくやるだろ、仲間はずれにするなとか」
いや、私は今大学生だ。
「それに俺も独りだし、友達作りてーなーとか思ってたから一石二鳥」
……こんなちゃらちゃらした男、バックにヤのつくお仕事とか不良の友達とかいそうなのに。
