自分でぼっち宣言する大学生ほど惨めな者はいない。
なんだか笑いながらそんなことを言う彼が虚しく見えてきた。
「…じゃあ午後の講義が終わったら電話して。私も駅の方だから」
仕方なく折れるとニカっと微笑む菓。モテそうなのになぜ友達がいないんだろう。…あぁ、厚かましいからか。
携帯を出すのが面倒だった私は、自分の電話番号をテーブルに置いてあるお客様アンケート用の筆記用具で書いたを渡す。
なんとなくあしらい方はわかったし、もし万が一ナンパだったとしても大丈夫だろう。
***
午後の講義は互いに違ったため、菓からの電話で待ち合わせということになった。
マナーモードにしておいたとはいえ、早く講義が終わったのかこちらの講義中に電話してきたので、会ったら一発腹にと心に決めた。
4:00過ぎ。大学内の広場へ向かう。カップルが多数待ち合わせに使う場所なので、自分と菓がそうだと思われないようにしなければ。
「あ、桐島ー!」
そう思っていたのに大声で私を呼ぶ馬鹿。無視して一人で帰ろうとすると慌ててついてきた。
「酷いなーお前」
「あんな注目集めるようなことしないでよ。面倒だし」
ため息をつきながらそう言うと、菓は一回大きな瞬きをしたあと、ニヤリと顔を歪ませた。
「ってことは桐島、彼氏いるんだなー!」
