「なー、お昼食べよーぜ」
菓はニカっと笑った。
そうだ、この男、頭蓋さんに似ている。
わざと暴言を吐いても気にしないところや、付きまとってくるところが。
大学では頭蓋さんと会わないからほっとしていたのに、これではゆっくり休めない。
「嫌。面倒」
「そー言わずにさー。俺この大学友達居なくて寂しーんだよ」
「私以外と居ればいいでしょう」
「やーだ。お前なんか放っとけねーし」
「……。」
そう言われた瞬間ささっと数歩後退した。なんなんだ彼は。
会っていきなり「放っておけない」などと、頭がおかしい。ますます頭蓋さんみたいだ。
しかし私の露骨に嫌な顔に気づかないのか無視しているのか、私の腕をグイグイ引っ張ると、菓は歩き出した。
「ちょーー」
「あ。勘違いしちゃいけねーよ、俺は別に桐島のことが好きなわけじゃないから」
「そんなこと思ってない」
「本当は思ってたり、うがっ」
しつこいので後ろから彼のふくらはぎを蹴ってやった。
まぁ、なぜか名前を知られていた妙な男だけど、暇なのは事実だし付き合うことにしよう。
大学の敷地内にあるガラス張りのカフェに着くと、彼はウェイターに軽く会釈して奥の席に腰をおろした。
「そういえば桐島、俺のこと知ってんの?ノリで話しかけたけど」
あ、その辺考えなかったんだ。
