「……」




私が顔を出すと、ナツはちょうど綺麗に包まれたオムライスを持ってテーブルに向かうところだった。





「あ、ちょうど呼びに行こうと思ってたんだよ」



「それ、ナツが作ったの……?」



「うん。ちょっと自信作」






ナツは自慢げに鼻を鳴らしてテーブルにオムライスが乗った皿を置いた。



誘導されるようにテーブルまで歩み寄ると、ナツはクスクスと笑ってケチャップを置いた。



その向かいにもう一つ同じような形をしたオムライスを置くと、自分も座って私に向かいに座るように促した。




言われるがまま座ると、ナツは手を合わせた。







「いただきます」




「あっ……い、いただきます」






出遅れないように慌てて言い、私はスプーンを握った。




もうバターの匂いが目の前にあって、我慢出来なかった。







綺麗に巻かれた卵をスプーンで切って一口分、口に運ぶ。



卵がふわふわしていて、口の中でとろりととろける。



ケチャップライスもほどよい加減に、私は目を丸くした。








「おっ、美味しい……!」



「ほんと?良かった」






そのままぱくぱくと私はオムライスを食べていく。



美味しくて、その手が止まらなかったのだ。





「……はるかの嬉しそうな顔、初めて見た」







ふとその言葉が引っかかって顔を上げると、オムライスを食べていたはずのナツは私を見て可笑しそうに笑っていたのだ。



私は恥ずかしくなって、食べる手を止めた。






「私だって……好物が出たら喜ぶくらいする……」




「うん、良かった」







そう言うとナツもオムライスをぱくりと食べて、満足そうな顔をしていた。


自信作と言っていただけあって、自分でも上手く出来たと思っているのだろう。



わかりやすいなぁ、と思いながら私はまたオムライスを食べ始めた。