彼女の順番まで、後6人か。
10年振り位のフォークダンスは意外と楽しかった。
体がステップを覚えていて、考えなくても音楽に乗れた。
学校祭の時位しか踊らなかったのに、大丈夫なもんだな。

何やらせるんだ、って思ったが手っ取り早くスキンシップをはかるのには有効らしい。
何せ、両手を繋ぎ体を寄せなければ踊れない。

秋川さんの事だけが気になっている俺でさえ、他の女性のうっすら染まった頬や近くで感じる薫りに酔いそうになる。
高校生の時はこんな事思わなかったな、と苦笑する。

大望の彼女の順番が来た。
今回の参加者の中でも一番小柄な彼女と手を繋ぎ、俺の腕の中にスッポリ納めてしまいそうに踊り出した。

彼女のつむじが見える。
彼女の薫りが鼻孔をくすぐる。

「身長、どの位ですか?」
周りの音に紛れないよう、耳にささやくと一瞬体をビクリとして、ステップを乱した。

「155センチ………」

恥ずかしそうに呟くのが聞こえた。
ヤバイ、可愛い。
このまま抜け出してしまいたくなった。

「俺は179センチ」
そう呟いたが、交代のリミットが来たので届かなかったかも知れない。

手を離したくなかったが、仕方なく交代した。