レジでお金を払って外に出、駐車場においた車に乗り込もうとした。

「篠原さん!」

店の裏の方から、誰かが駆け寄ってくる。
今、俺の名を呼んだ気がする。

「秋川さん?!」

何故か、彼女が走ってきた。
先程見た帽子やマスクはもう外している。

「昨日は有り難うございました。楽しかったです。」

「え、いや、こちらこそ、すっかりご馳走になってしまって!とても美味しかったです!!」

「お粗末様です。恥ずかしいですけど………、あんな料理で良ければ、又、食べに来て下さいね!」

「最高の料理でした!もう、朝昼晩、毎日でも食べたいです!!」

「ふふふ、そう言ってもらえると、私も食べさせたくなっちゃいます。誰かと食べるのがこんなに嬉しいなんて思いませんでした」

「今日は、弁当作る仕事ですか?
俺、コロッケ買いましたよ」

手に持った袋を軽く挙げて見せる。

「お総菜の人がお休みで、ヘルプ要員なんですよ。
やっとお昼休みで………。

あら、嫌だ、篠原さんのお昼休み無くなっちゃう!引きとめてご免なさい!

それじゃ、又。」

俺は昼休みが全部潰れても構わなかったが、彼女の休憩も減ってしまうので、これで帰る事にした。

顔を合わせて話す事が出来たなんて、とてもラッキーだった!

しかも、彼女から追いかけてきてくれるなんて!!

周りになんと言われようとも、にやけた顔はなおらないのであった。