町コンの神様は俺に味方している。
秋川さんと二人三脚のペアだなんて、出来すぎな位ラッキーで怖い位だ。

彼女の小柄で、きゃしゃな肩に腕をまわすだけで幸せで、二人三脚の順位なんかどうでも良かった。

いっそ、最下位だとそれだけ長く肩を抱いている事が出来るじゃないかと考えたが、さすがにビリでは格好悪かろう。

軽くウォーミングアップしてからスタートしたら、思いの外、スムーズに進む事が出来たようで、何と3位に入っていた。

お祝いの言葉と共に商品が渡されると、ペアのマグカップだった。

「可愛い………」

彼女がつぶやく。
一つずつ分けて持ち帰る方が良いのだろうが、一回でも良いから是非、一緒に使ってみたかった。

俺の部屋に誘うのはまだ、早すぎだよな、やっぱり。

町コン閉会の挨拶が始まっていて、二次会に行ける人を募っていた。

俺は二人だけで話したかったので、思いきって誘ってみた。

「この後、二人で飲みに行きませんか?」

「はい………」

小声だったが、はっきりと聞こえた。
これは、OKの返事だよな?

天にも登る心地で、人々からはぐれる様に二人で抜け出した。

「どこに行きますか?」

「あ、さっきのビンゴでスナックバーの商品券もらったんですけど。期限があるので、使いませんか?」

「俺は、シャンパンでしたね。
期限切れたらもったいないから行きますか。この時間でもう、開店してるかな?」

時計を見るとまだ、夕方の6時過ぎだった。
スナックバーに行くには早いか。

「軽く食事して行きますか?どこが開いてるかな。」

「なら、うちで食べます?大したもの無いですけど。」

「えっ………あっと、実家ですか?」

まさか、まだ付き合ってもいないのに誘われたのだろうか?

「いいえ。でも、開いている食堂、多分無いと思います。なら、うちで少し時間をつぶしてスナックバーが良いかなと思って。ダメでした?」

「ダメじゃ無いです!では、そうしましょう!!そうだ、このシャンパンも開けましょう!!」

彼女の気が変わらない内にと、歩き出した。