コンコン〜



「おぼっちゃま、心次様が来てますよ…!」





噂をすれば、なんとなら…。






「よぅ!」






心次がこんな時間に来るなんてめずらしいし…。








多分、静奈が言ってた留学の話だな…。






「お前が夜遅くに来るなんて珍しいな!」







少し嫌味。






「悪かったな…。
明日発つ前に葉山に話しとこうって思ってな…。」






はっ?明日発つって…!?






「俺さ、明日ヨーロッパに発つよ!!」






又、なんでヨーロッパなんだよ…。







「俺自身を磨きたいからさ、ヨーロッパに留学して1からやり直そうって思ってさ…」






だからヨーロッパって…。








「心次はどこまで自分勝手なんだよ!
岡下にしても静奈にしても…!」







お互い傷つけて…。






「分かってる!
静奈にも美愛ちゃんにもホントに悪かったって思ってる…。」







だったら…。







「尚更だろ??
お互い誰がいいか決めるのが大切だろ…!」






「葉山の言ってる事は分かる…。
でも、それは男らしさもない…。」






心次は本気なんだ…。





「なら、文句言わない…
自分自身で決めてるんなら!」








文句も一つ言えない…。






「葉山、有難う〜!!」






キモい、抱きつくな…!





「離れろ〜!」







「そういれば、葉山の父親が帰って来るんだってな…」





どこからそんな情報が入ってくるんだよ…。






「見たいだな…。」






俺はあんまし会いたくないんだけど…。






「でも、俺も会いたかったなぁ〜!
葉山の父親に!」









心次は俺の父親に懐かれてたからな…。






「明日の何時に発つんだよ!」






何時に発つか聞いてなかった…。







「何?見送りしてくれるワケ?」






聞くんじゃなかった…。






「…。」






「10時には発つよ…。」






10時って…。






そんなに早く出るのかよ…!







「ふーん。」






「ふーんって何だよ…!
寂しいの一言くらいは?」




「無い!」





きっぱり否定…。






「ちぇっ!
冷たい奴…。」







ガキかよ。