「い、和泉…!」




「和泉さんじゃない?」



俺の声より、比呂の声が聞こえたのか、和泉と確か旅館の人と一緒だった…。





「どうしたんですか?」






和泉が聞くより、旅館の人が聞いて来た…。






「海遊館に行きたいから、貸切ってもらったの…!
ねぇ、あなた…。」








「あぁ〜!」








なんで2人が一緒に…?








「和泉さん達はなんで?」







「ちょっと海遊館が見たくなって…!」







和泉…。








「だったら、一緒に海遊館に入らない?
せっかくなんだし…!あなたもいいわよね?」






「そうだな…!」







今はマズイ…。








「和泉さんが良かったらだけど…。」







俺はあえて和泉を、〟さん〟付けして、聞いた…。







「俺達はもう帰るんで…!
失礼します…!」






旅館の人と和泉は一緒に帰ってしまった…。







それより、和泉泣いていた…。






「あなた、行くわよ…!」





「あぁー。」







やっぱり和泉が心配…!






「比呂、悪いんだけど、先に中に入っててくれないか?すぐに戻るから…!」






「ちょっと…。
あなた…!」






比呂、悪い…。







「和泉…。」






まだその辺にいてるハズ…!






「居た…。
和泉…!」







「は、葉山君…。」






「お前…!」






旅館人の人が何か喋ってるのを無視して、俺は和泉に話かけた…。







「どうしたの?
比呂さんは?」






「先に中に入るように頼んだ…!」







それより、俺は…。






「和泉に言いたい事があって来たんだ…!」








俺はやっぱり和泉がスキだって…。







「葉山君…!」




俺には比呂がいてる…。



でも、やっぱり泣いてる和泉が気になって仕方ない…。



「和泉、俺…!」






「あなた…!」





「比呂…!」







先に中に入ってろって言うたのに…。







「やっぱり、あなたは和泉さんがスキなの?」







「違う…!
ただ、和泉が泣いていたから気になっただけ…。」







なんでこんな事になるんだ…。








「比呂さん…!」








「和泉さん…!
お願いだから、私達の幸せを邪魔しないで下さい…。」








邪魔って…。







「比呂…!
和泉になんて事言うんだよ…。」










「だってそうでしょ…。
あなたは和泉さんが好きなんでしょ…?」






それは…?






「…!」






「ほら!やっぱり…!
好きなんだ」









比呂…。







「比呂さん、私は別に葉山君の事好きじゃありませんよ…。
今じゃ、堀田さんが好きなんで…」





堀田って、隣にいてる人…。







「和泉さん…!」






「嘘…!
嘘よ…!」






比呂、、




「もう止めろ…。」




「あなた…。
だって、あなたが…」




「違うって言うたら、違う…」





もういいだろ?





「あなた…。」






「じゃあな…!
幸せになれよ…!」






これ以上、辛い思いをさせたくない…。






和泉も比呂も…。






「有難う…。」






和泉の最後のあの笑顔が見れて、良かった…。